
こんな嘘つきだらけの日本で見つけた
尊敬出来る大人が何人かいる。
その中のお一人が東京新聞の望月衣塑子さんである。
空気を読まず知りたい事、疑ってる事をグイグイ突進して政治家や官僚に質問してくれる。
ずっと楽しみにしていた望月記者を追ったドキュメンタリー映画「i」が先週公開されたので早速観に行った。監督は森達也さん。
政治の闇を暴こうとする新聞記者と内調の官僚の葛藤を描いた、松坂桃李さん主演の「新聞記者」も以前、ブログで紹介させて頂いた。
この作品は望月さんの自叙伝が原案になっていたが、そのリアルな望月さんの姿を森監督がハンディカメラ片手にタイムラインで追ったドキュメンタリーが「i-新聞記者ドキュメント」
フィクション(ほぼノン)とノンフィクションの両方から望月さんの瞳を通して、私達が生きている今の日本、そして知らされてない世界や見ないようにしている世界が映し出されている。
私は、もう本当に望月さんに惚れてしまっているので客観的に評価出来ないと思う。
実際、映画が始まりタイトル「i」がスクリーンに現れる前のシーンで涙が止まらなくなってしまった。
私とほとんど同じ年齢、小さなお子さんを育てながら、あんな恐くてずるいオッサン達に躊躇なく向かっていく華奢な背中、
「頑張ってね!」って声を掛けられながら笑顔を返す姿を見て
勝手なイチ視聴者の私は「こんなずるいオッサンどもが居なければ、仕事がもっと楽になって子供達と一緒に過ごせるのに」とか「頑張ってって、十二分に頑張っとるわ!」とか
悔しくなったり、こんな情けの無い世の中に悲しくなったり、強い望月さんに感動したり、自分の無力さに落ち込んだり。
森監督は、ただ黙ってカメラを回してまるで盗撮モノみたいに背中を追う。
ドキュメンタリーって言っても脚色を添えたくなったり、監督が希望するクライマックスに誘導したり、中には作られた作品もありそうだけど、この作品は純粋にナマモノを映像にした産地直送品だと感じた。
もしも私が望月さんのアシスタントだったら
もしも私が新聞記者だったら…
そんな擬似体験をしたかのような時間でした。
しかも、長期政権の歪みが、露わになった事件のキーマン達が次々スクリーンに登場する。
伊藤詩織さん、前川喜平さん、籠池さんご夫妻。
みんな金と権力が大好きなズルいオッサンどものせいで深く傷ついた方々。
その方々が泣き寝入りせず声をあげている、その声を望月さんら負けないジャーナリストさんが拾い私達に教えてくれている。
そして、そのジャーナリストの仕事姿を森監督が映像にした。
知らなかった事、経験してない事を学ばせてくれている。
この作品は東京国際映画祭に出品され日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞した。
昨今、政治に関わる映画は何かと妨害が入り、しんゆり映画祭や文化庁の補助金打ち切り問題などで表現の自由が危ぶまれてる中でこの高評価は、まだまだ足掻く価値があり、批判を恐れず権力と闘ってる一部の人の後ろには
声を上げずともひっそりと、同じ様に正しい世の中がいいと願う人々がかなり居るんだと嬉しくなった。
大事な事は垂れ流されてる膨大な情報に、いとも簡単に埋もれてしまうから、しっかり選びピックアップしないと。
もう一度観に行きたい。
そして、大好きな望月さんを3時間くらいマッサージしたい。
望月さん、森監督、ありがとうございました。